#植物工場説明資料

【第23回】グリーンシェルターMAXは、どれくらい生産できるのか

土を載せない商業生産型で、18,000ポートをどう使うのか

こんにちは。UnderSOIL(アンダーソイル)の野口です。

 前回は、生きた培地を使う壁面点滴栽培について、植物の根へ水と養分を届ける仕組みをご紹介しました。

 今回は、その壁面栽培を本格的な生産へつなげる、グリーンシェルターMAXの規模について見ていきます。

 UnderSOILでは、植物工場を外部の構成によって二つに分けています。

 グリーンシェルターは、外部に土や植生を取り入れ、農園や里山の景観になじませる植物工場です。一方、グリーンシェルターMAXは土を載せず、FRPの曲面外殻、断熱、光の反射、空気の流れを活かして、内部の生育環境と継続的な生産を優先します。

 内部で使う壁面栽培の基本的な仕組みは共通していますが、建物の外側に何を求めるかが異なります。

 景観との一体性を重視するのがグリーンシェルターであり、植物工場としての生産環境をより明確に打ち出すのがグリーンシェルターMAXです。

1基720ポートの栽培壁を組み合わせる

 グリーンシェルターMAXの中心となる設備が、両面を栽培面として使う壁面栽培ユニットです。

 一つの栽培壁には、植物を配置するためのポートが720か所あります。各ポートには培地が入り、植物は種から収穫まで同じ場所で育てることができます。根元には点滴によって水と養分を届けます。

 栽培壁は、建物の構造から吊り下げるように設置します。床に固定された棚とは異なり、栽培壁の両側から植物へ近づけるため、植え付け、状態確認、収穫、清掃を行う動線を確保できます。

 720という数字は、単に植物を多く並べるための数字ではありません。

 この一つひとつのポートへ、どの作物を配置し、何日で育て、どの順番で収穫するかを決めることで、栽培壁が生産設備として機能します。

MAX 10とMAX 14の生産規模

 グリーンシェルターMAXには、主にMAX 10とMAX 14の構成があります。

 MAX 10は合計10,800ポート、MAX 14は合計18,000ポートを備えます。MAX 14では、720ポートの栽培壁を25基配置します。

 18,000ポートは、生産計画を組み立てるための基礎となる数字です。

 すべてのポートへ同じ日に苗を入れ、同じ日に収穫するのではありません。播種直後の植物、生育途中の植物、収穫時期を迎える植物を分けて配置し、毎週または毎日の出荷量が大きく変動しないように栽培時期をずらします。

 たとえば、栽培期間が30日の作物であっても、18,000株を月末にまとめて収穫するより、区画を分けて毎日または毎週収穫できるようにした方が、レストランや直売所へ安定して供給できます。

18,000ポートから、年間収穫量へつなげる

 MAX 14では、葉物野菜の年間生産量を約12.9トンから20.2トンとする生産モデルがあります。作物の種類や1株当たりの重量によって、年間生産量の幅が変わります。

 大切なのは、この数値を日本のすべての計画へ一律に当てはめることではありません。

 UnderSOILでは、次の条件を案件ごとに設定し、必要な収穫量へつなげます。

年間の商品重量
= 稼働ポート数 × 年間栽培回数 × 1株当たりの商品重量 × 商品化率

 たとえば、葉を若いうちに収穫するベビーリーフと、大きく育てて株ごと収穫するレタスでは、同じポート数でも年間の商品重量は変わります。

 ハーブのように必要な分だけ葉を摘み取り、株を残して繰り返し収穫する作物では、「何株収穫したか」よりも、1週間に何キログラム供給できるかが重要になります。

 反対に、株ごと販売する葉物野菜では、1株当たりの重量、見た目、大きさのそろい方、廃棄率が生産計画を左右します。

 18,000ポートは設備の大きさを表し、年間12.9~20.2トンという数字は、そこから組み立てられる葉物野菜の生産モデルです。実際の計画では、販売する作物と必要量を先に決め、ポートの使い方を逆算します。

ポートを埋めることが目的ではない

 栽培壁に空いているポートを、すべて埋めれば収量が最大になるとは限りません。

 葉が大きく広がる作物を密に植えると、隣の植物と葉が重なり、内側まで光が届きにくくなります。空気の通り道も狭くなり、湿度の偏りや葉の蒸れが生じやすくなります。

 ベビーリーフや小型のハーブでは、高密度に配置して短期間で収穫する方法が向いています。一方、大きなレタスや果菜類では、一つおきにポートを使用するなど、植物が成長した後の大きさを見込んで間隔を取ります。

 レタスとバジルを使った垂直農法の研究では、1平方メートル当たり123株、237株、680株の三つの栽植密度が比較されました。高密度区では面積当たりの生産量や光・エネルギーの利用効率が高まる一方、1株当たりの重量は小さくなる傾向が確認されています。

 つまり、生産量を考えるときには、二つの見方が必要です。

 施設全体で何キログラム収穫できるかという見方と、商品として扱いやすい大きさの作物を何株そろえられるかという見方です。

 面積当たりの重量を増やすことが目的なのか、大きさのそろったレタスをつくることが目的なのかによって、適した栽培密度は変わります。

生産量は、販売先から逆算する

 植物工場を計画するとき、最初に考えるべきなのは、18,000ポートをすべて使う方法ではありません。

 誰が、何を、どれだけ必要としているかを確認することから始めます。

 レストランであれば、バジル、ミント、ルッコラ、食用花などを、少量ずつ毎週安定して収穫できることに価値があります。

 宿泊施設では、朝食や夕食で使う葉物野菜に加え、料理や飲み物に使うハーブを複数育てる計画も考えられます。

 直売所や食品事業者へ供給する場合は、毎週一定の数量と規格をそろえる必要があります。生産量だけでなく、収穫、洗浄、包装、保管、配送まで含めた計画が必要です。

 グリーンシェルターMAXは、土を載せず、植物工場としての内部環境と生産設備を優先する建物です。

 そのため、栽培壁の配置、作業通路、照明、空調、給排水、収穫後の作業場所までを、生産目標から逆算して組み立てます。

 18,000という数字を大きく見せることが目的ではありません。その18,000の植え付け位置を、必要な商品と安定した供給へどうつなげるかが、グリーンシェルターMAXを計画するうえで最も重要です。

 次回は、植物の根へ水と養分を届ける仕組みを、さらに詳しくご紹介します。

 灌水の回数、水量、pH、EC、根の周囲の酸素、培地の乾湿をどのように組み合わせるのか。植物工場の水と養分の管理について考えていきます。

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