【第21回】グリーンシェルターとグリーンシェルターMAXの違い
土中建築と組み合わせて考える、二つの植物工場
こんにちは。UnderSOIL(アンダーソイル)の野口です。
前回は、UnderSOILが土中建築に加えて、植物工場にも取り組む理由をご紹介しました。
たとえば、観光農園の中にレストランや宿泊施設があり、その近くで野菜やハーブを育てる。収穫した作物を料理に使ったり、来園者に栽培の様子を見てもらったりすることで、建物と農業を一つの体験につなげられます。
こうした計画の中で、植物を育てる施設として提案しているのが、グリーンシェルターとグリーンシェルターMAXです。
UnderSOILでは、外部の構成によって二つを分けています。グリーンシェルターは、屋根や外周に土と植生を取り入れ、農園や里山の景観になじませる植物工場です。一方、グリーンシェルターMAXは土を載せず、曲面外殻、断熱、光の反射、空気の流れを活かして、内部の生育環境を整える植物工場として提案します。
どちらも光、水、養分、空気、温度、湿度などを管理しながら植物を育てる施設ですが、建物の構成や内部環境の安定性、求める生産規模によって選び方が変わります。


グリーンシェルターは、土と植生を取り入れた植物工場
グリーンシェルターは、外部に土や植生を取り入れ、農園や里山、観光施設の風景になじませる植物工場です。内部には、育てる作物や必要な生産量に合わせて、壁面栽培、多段ラック、照明、空調、灌水設備などを組み合わせます。
壁面を使った栽培設備、育苗やマイクログリーンに向く多段ラック、照明、空調、灌水設備などを組み合わせ、事業の規模に合った栽培環境をつくります。
内部に設置する両面型の栽培壁には、一基で720か所の栽培ポートを持つ仕様があります。また、横型の栽培ラックでは、最大7段まで重ねる構成も可能です。床面だけでなく、高さや壁面を栽培面として使うことで、限られた建物面積を有効に使えます。
ただし、栽培ポートの数が、そのまま収穫量になるわけではありません。作物の大きさ、株間、栽培期間、作業通路、空調の流れ、清掃やメンテナンスの方法まで含めて、実際の配置を設計します。
レストランで使うハーブや葉物野菜の生産、宿泊施設で提供する食材の一部を育てる計画、観光農園に併設する生産施設など、必要な規模から始めやすいのがグリーンシェルターです。

グリーンシェルターMAXは、土を載せず、建物自体が生育環境を支える
グリーンシェルターMAXは、土や植生による外装を設けず、FRPの曲面外殻と多層断熱を活かして、内部の生育環境を整える植物工場です。
FRPの曲面外殻と多層断熱を組み合わせ、外気温の影響を抑えながら、内部の温度や湿度を管理します。曲面形状は、空気が一部に滞留しにくい環境をつくるうえでも利用されます。
特徴的なのが、内壁による光の反射です。曲面内壁は約81%の光を反射し、照明から出た光を植物の方向へ戻すことで、光子の利用効率を最大40%高める設計になっています。これは収量が一律に40%増えるという意味ではなく、壁や天井へ逃げる光を、できるだけ栽培に使うための仕組みです。
照明を増やすだけでは、消費電力や発熱も大きくなります。グリーンシェルターMAXでは、断熱、空気の流れ、光の反射を建物側で支え、植物が育つ環境を安定させることを重視しています。
高付加価値野菜の生産、品質のばらつきを抑えたい事業型植物工場、研究や実証栽培など、環境条件をより細かく管理したい計画に適しています。

土地の使い方から、植物工場を考える
グリーンシェルターとグリーンシェルターMAXは、どちらが優れているという関係ではありません。
少量多品種の栽培から始めたいのか、レストランで使う食材を育てたいのか、年間を通した安定生産を目指すのか。育てる作物、生産量、販路、必要な環境管理によって、適した構成が変わります。
同じ敷地の中に、人が過ごす土中建築と、植物を育てるグリーンシェルターを配置することもできます。観光農園であれば、栽培、収穫、食事、宿泊までを一つの体験にできます。収穫物の保管が必要な場合には、Groundfridgeを組み合わせる活用も考えられます。
グリーンシェルターは、外部に土や植生を取り入れ、農園や里山の風景になじませます。一方、グリーンシェルターMAXは土を載せず、植物工場としての環境制御や生産性を優先します。植物工場を目立たせるのではなく、土地の景観や事業全体の流れに合わせて設計することも、UnderSOILが考えている活用法の一つです。
次回は、グリーンシェルターの中で植物をどのように育てるのかをご紹介します。壁面型の栽培方法、水と養分の供給、pHや養分濃度の管理、照明、CO₂、温度、湿度、空気の流れなど、植物工場の内部へもう一段詳しく入っていきます。