#宿泊施設向け提案資料

【第20回】なぜUnderSOILが植物工場にも取り組むのか

 こんにちは。UnderSOIL(アンダーソイル)の野口です。

 これまでのブログでは、アースシェルを用いた土中建築やFRP草屋根について書いてきました。土や植物に包まれる建築、景観になじむ建築、宿泊施設や観光農園、里山施設の中で土地の魅力を引き立てる建築として、UnderSOILの考え方を少しずつ紹介してきました。

 UnderSOILという名前から、地中や土屋根の建築をイメージされる方は多いと思います。それはもちろん大切な柱です。ただ、私たちが見ているのは、建物の形だけではありません。人が過ごす空間と、植物が育つ環境をどうつなげるか。そこまで考えると、植物工場やGreenシェルターは、UnderSOILにとって自然につながるテーマになります。

 土中建築は、人が過ごす場所をつくる建築です。一方で植物工場は、植物が安定して育つ環境をつくる施設です。用途は違いますが、どちらも土地や環境との関係を読みながら、光、水、空気、温度をどう扱うかが大切になります。

土中建築と植物工場は、まったく別の話ではない

 土中建築と植物工場は、一見すると別の分野に見えます。土中建築は住宅、宿泊施設、観光農園の休憩棟、景観型カフェなど、人が滞在するための建築です。植物工場は、野菜やハーブ、苗などを育てるための生産施設です。

 ただ、どちらにも共通しているのは、外部環境に振り回されすぎない空間をつくるという考え方です。

 土中建築では、土や植物に包まれることで、外気温や風、日射の影響をやわらげます。室内では、光の取り方、換気、断熱、防水、排水を考えながら、人が心地よく過ごせる場所を計画します。

 植物工場では、植物が安定して育つように、温度、湿度、光、水、空気、栄養、衛生環境を整えます。人の快適性ではなく、植物にとっての生育環境をつくる点が違いますが、環境を設計するという意味では近い考え方です。

 UnderSOILが植物工場にも取り組む理由は、この部分にあります。建物をつくるだけでなく、その土地で何を育て、どう使い、どう続けていくかまで考えると、建築と農業は思っている以上に近いところにあります。

観光農園では、生産と滞在の両方が大切になる

 第18回では、観光農園に土中建築を入れると面白い理由について書きました。観光農園には、農産物を育てる場所と、人が訪れて過ごす場所があります。受付、休憩棟、カフェ、直売所、体験施設などは、来園者が農園の魅力を感じるための大切な空間です。

 一方で、農園の本質はやはり育てることです。作物を安定して育てること、品質を保つこと、季節や気候に左右されすぎない生産を考えることは、農園にとって重要なテーマになります。

 ここで、土中建築とGreenシェルターの役割が分かれてきます。アースシェルを用いた土中建築は、来園者が過ごす建築として考えやすいものです。Greenシェルターは、植物を育てる環境制御型の栽培施設として考えます。

 農園の中で、人が過ごす場所と植物を育てる場所を分けて計画できると、施設全体の可能性は広がります。農産物をつくるだけでもなく、建物を見せるだけでもなく、農業と滞在体験を組み合わせることができます。

植物工場は、ただの設備ではなく「育てる環境」

 植物工場という言葉を聞くと、ラックや照明、配管、空調設備を思い浮かべる方も多いと思います。もちろん、それらは重要です。ただ、本当に大切なのは、設備を並べることではなく、植物がどう育つかを考えることです。

 どんな作物を育てるのか、どのくらいの量を生産したいのか、誰に届けるのか、どの地域でどんな運営体制を組むのかによって、必要な施設は変わります。葉物野菜、ハーブ、マイクログリーン、育苗、果菜類など、作物が変われば求められる環境も変わります。

 これは建築とよく似ています。建物も、用途や敷地、運営を考えずに形だけ決めると、あとで使いにくくなります。植物工場も同じで、栽培する作物や運用方法を見ずに施設だけを決めると、続けにくい計画になってしまいます。

 UnderSOILでは、植物工場を単なる設備の集合ではなく、植物を育てるための空間として考えます。農業生産だけでなく、観光農園、飲食店、宿泊施設、地域の直売や地産地消の仕組みとどうつなげるかも含めて検討していきます。

Greenシェルターは、生産側を支える柱になる

 UnderSOILの提案の中で、土中建築は人が過ごす場所に向いています。宿泊施設、住宅、別荘、観光農園の休憩棟、景観型カフェ、里山施設など、土地の魅力を活かしながら人が滞在する建築です。

 一方で、Greenシェルターは植物を育てるための施設です。植物工場、環境制御型栽培、農業生産、育苗、地域生産の拠点として考えます。この二つを混同せず、それぞれの役割を整理することが大切です。

 たとえば観光農園であれば、来園者が休むカフェや受付には土中建築を、作物を育てる生産側にはGreenシェルターを組み合わせる考え方があります。宿泊施設であれば、滞在空間には土中建築を使い、施設内で提供するハーブや葉物野菜を育てる場所としてGreenシェルターを検討することもできます。

 こうした計画では、建物単体ではなく、土地全体の使い方が大切になります。泊まる、食べる、育てる、体験するという要素がつながると、施設の価値はより分かりやすくなります。農業と建築が同じ敷地の中で役割を持つと、土地の使い方にも奥行きが出てきます。

土中建築から、植物の未来へ

 UnderSOILという名前には、土の下、土に近い場所という意味があります。ただ、私たちが考えているのは、地面の下に建物をつくることだけではありません。土をどう活かし、植物とどう関わり、人が過ごす空間と生産する空間をどうつなげるかということです。

 その意味で、植物工場やGreenシェルターは、UnderSOILの中で自然なテーマです。土中建築は人が過ごす場所をつくり、Greenシェルターは植物が育つ場所をつくります。さらにGroundfridgeは、食材やワインを地中で保つ場所として考えることができます。

 それぞれの役割は違いますが、根っこにあるのは、土、植物、地中環境を活かしながら、これからの暮らし方、泊まり方、育て方、保ち方を考える姿勢です。

 UnderSOILが植物工場にも取り組むのは、建築から農業へ急に話を広げたいからではありません。人が過ごす空間と、植物が育つ環境は、これからもっと近くなっていくと考えているからです。

 次回は、植物工場をもう少し具体的に見ていきます。植物工場は、建物そのものよりも「育てる環境」をつくることが大切です。その考え方について、整理していきたいと思います。

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