【第18回】観光農園に土中建築を入れると面白い理由
こんにちは。UnderSOIL(アンダーソイル)の野口です。
今回は農園に「滞在する場所」をつくる視点からお話したいと思います。
観光農園というと、いちご狩り、ぶどう狩り、ブルーベリー摘み、野菜収穫体験、花畑、直売所、カフェなどを思い浮かべる方が多いと思います。
農園は、農産物をつくる場所であると同時に、人が訪れて過ごす場所でもあります。
ここに建築の工夫が入ると、農園の印象はかなり変わります。
UnderSOILが提案する、アースシェルを用いた土中建築やFRP草屋根は、観光農園の受付、休憩棟、カフェ、体験施設、小さな宿泊棟などと相性のよい建築だと考えています。
畑や果樹園の中に、土と植物に包まれた建物がある。
それだけで、農園の風景に少し特別な印象が生まれます。

農園は、滞在時間を伸ばせる場所です
観光農園では、収穫体験だけでなく、その前後の時間も大切です。
受付をする場所、荷物を置く場所、休憩する場所、飲み物を飲む場所、雨や強い日差しを避ける場所。
こうした場所が整っていると、来園者は農園で過ごしやすくなります。
せっかく景色のよい農園でも、体験が終わったらすぐ帰るだけでは少しもったいない。
農園内に気持ちよく滞在できる建物があると、カフェ、直売、加工品販売、ワークショップなどにもつなげやすくなります。
土中建築は、農園の中に置いても景観から浮きにくい建築です。
土や植物をまとった外観は、畑や果樹園、里山の風景と相性がよく、農園らしさを壊さずに滞在場所をつくることができます。

受付や休憩棟にも、農園らしい顔がほしい
観光農園では、最初に見える建物が施設全体の印象になります。
受付が仮設感の強い建物だったり、休憩所がただの倉庫の延長に見えたりすると、せっかくの農園の魅力が伝わりにくくなります。もちろん、農業施設としての実用性は大切ですが、来園者を迎える場所には、少し印象に残る顔があってもよいと思います。
FRP草屋根や土屋根建築は、農園の受付棟や休憩棟に使うことで、施設の入口に自然な存在感をつくることができます。
派手な看板で目立たせるのではなく、建物そのものが農園の雰囲気を伝える。
これは、観光農園にとって大きな強みになります。

カフェや直売所との相性もいい
観光農園では、収穫体験だけでなく、農産物を使ったカフェや加工品販売、直売所を組み合わせることがあります。
その場合、建物はただ商品を置く場所ではなく、農園の魅力を伝える空間になります。
採れたての果物を使ったスイーツ、野菜を使ったランチ、畑を眺めながら飲むコーヒー。こうした時間を過ごす場所として、土中建築は面白い選択肢になります。
窓から畑や果樹園が見える。
外観は土や植物に包まれている。
室内では落ち着いて過ごせる。
こうした構成にすると、農園の景色そのものがカフェや直売所の価値になります。
商品を売るだけでなく、その場所で過ごす時間も一緒に提供する。
観光農園では、この考え方がとても大切です。

生産施設と、来園者が過ごす建築を分けて考える
UnderSOILでは、植物工場や農業用D型ハウスとしてGreenシェルターも提案しています。
Greenシェルターは、栽培や生産のための施設です。
一方で、アースシェルを用いた土中建築は、来園者が過ごす場所、休む場所、食べる場所、体験する場所として考えやすい建築です。
農園には、生産のための空間と、お客様を迎えるための空間があります。
この二つを混同せず、それぞれに合った建築を選ぶことが大切です。
たとえば、栽培はGreenシェルターで安定的に行い、来園者向けの受付、カフェ、休憩棟、体験施設には土中建築を使う。
そうすると、農業生産と観光体験を分けながら、農園全体として一体感のある計画にしやすくなります。

農園に、もう一度来たくなる理由をつくる
観光農園では、収穫できる作物や季節によって来園のきっかけが生まれます。
ただ、長く選ばれる農園にするには、作物だけでなく、過ごし方の魅力も大切になります。
景色がよかった、休憩場所が気持ちよかった、カフェでゆっくりできた、子どもと安心して過ごせた。そうした印象が、次の来園につながります。
土中建築やFRP草屋根は、農園の風景に寄り添いながら、来園者が記憶に残す場所をつくる建築です。
観光農園の受付として。
畑を眺めるカフェとして。
収穫体験の休憩棟として。
里山や農園の滞在施設として。
アースシェルを用いた土中建築は、農園に「もう少しここで過ごしたい」と思える場所をつくる選択肢になります。
農産物を育てるだけでなく、人が過ごす時間も育てる。
観光農園には、そういう建築の可能性があると考えています。