#宿泊施設向け提案資料

【第17回】泊まることが目的になる建築

こんにちは。UnderSOIL(アンダーソイル)の野口です。

今回は、宿泊施設に記憶に残る客室を作るといったテーマに関してお話します。

宿泊施設にとって、客室はただ眠るための場所ではありません。

旅館やホテル、リゾート施設、自然宿、オーベルジュなどでは、客室そのものが宿泊の満足度に大きく関わります。到着してから部屋に向かうまでの道、建物の見え方、扉を開けたときの印象、窓の外に広がる景色。そうした体験が重なって、宿泊者の記憶に残ります。

UnderSOILが提案するアースシェルを用いた土中建築やFRP草屋根は、単に珍しい形の建物をつくるためのものではありません。
その土地の景観や空気感を活かしながら、宿泊そのものを目的にしてもらうための建築として考えています。

客室に向かう時間も、宿泊体験になる

宿泊施設では、部屋の中だけが体験ではありません。

本館から少し離れた場所へ歩いていく途中、庭や森の奥に客室が見えてくる。斜面や植栽の中に建物がなじんでいて、近づくにつれて少しずつ形が分かってくる。こうしたアプローチの時間は、宿泊者の気持ちを日常から切り替える大切な場面になります。

土屋根建築やFRP草屋根は、建物を景観の中に置きやすい特徴があります。箱型の建物をそのまま並べるのではなく、土と植物に包まれた曲面の建物を敷地に合わせて配置することで、客室までの道にも物語が生まれます。

大げさな演出をしなくても、建物の見え方や周囲との関係で印象は変わります。
宿泊施設では、この「部屋に入る前の時間」が意外と大事です。

採石池を見下ろすデッキに存在する短期賃貸ユニット

建物が景観に溶け込みながら、印象に残る

宿泊施設では、建物が目立てばよいというものではありません。
特に自然や庭園、里山、農園、湖畔、斜面などを活かした施設では、建物が景観から浮いてしまうと、せっかくの土地の魅力を損なうことがあります。

一方で、景観になじむだけで印象に残らなければ、客室としての特別感は出しにくくなります。

土中建築の面白さは、その中間にあります。
建物の一部が土や植物に包まれ、周囲の景色となじみながらも、曲面の形や開口部のつくり方によって、普通の客室棟とは違う印象をつくることができます。

静かに存在しているのに、記憶には残る。
宿泊施設にとって、これはかなり大事な要素だと思います。

室内では、落ち着いて過ごせることが大切

外観に特徴があっても、室内が落ち着かない建物では宿泊施設として長く使いにくくなります。

土中建築では、土に包まれる部分と、光や景色に開く部分のバランスが大切です。外側は土や植物に守られたような印象を持ちながら、室内では窓から自然光が入り、外の景色がきちんと見える。そうした設計にすることで、閉じた地下室のような印象ではなく、静かで落ち着いた客室になります。

宿泊施設として考えるなら、ベッドの配置、くつろぐ場所、水まわり、空調、換気、照明、音、プライバシーまで含めて計画する必要があります。
建物の形が面白いだけではなく、泊まった人が自然にくつろげること。ここを外すと、せっかくの建築が一回限りの話題で終わってしまいます。

写真に残る建築は、口コミにもつながる

宿泊施設では、建物の印象が写真や口コミに残りやすくなっています。

特徴のある客室、景観になじむ外観、窓から見える景色、夜の照明、朝の空気感。そうしたものは、宿泊者が誰かに伝えたくなる要素になります。

ただし、写真映えだけを狙うと、建物が軽く見えてしまうことがあります。
大切なのは、実際に泊まったときの心地よさと、写真に残したくなる印象が両立していることです。

土屋根建築やFRP草屋根は、外観の独自性だけでなく、土地との一体感を見せやすい建築です。宿泊者が写真を撮ったときに、建物だけでなく、その周囲の景色も一緒に記憶に残る。ここに、土中建築を宿泊施設に使う意味があります。

泊まることが目的になる場所へ

宿泊施設にとって、客室は数を増やせばよいものではありません。

その土地に来る理由、その部屋を選ぶ理由、帰った後に思い出す場面。
こうしたものをつくれるかどうかが、施設の価値に関わってきます。

アースシェルを用いた土中建築やFRP草屋根は、景観に溶け込みながら、宿泊者の記憶に残る客室をつくるための選択肢です。旅館やホテルの離れ、リゾート施設の客室棟、自然宿や里山施設の滞在空間として、土地の魅力を活かした計画に向いています。

建物を増やすのではなく、泊まることが目的になる場所をつくる。
UnderSOILでは、土中建築をそうした宿泊施設の新しい選択肢として考えています。

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