【第14回】FRP草屋根・土中建築のメンテナンスで考えること
こんにちは。UnderSOIL(アンダーソイル)の野口です。
FRP草屋根や土中建築に興味を持った方から、よく聞かれる質問があります。
「屋根の草はどう管理するんですか?」
「水やりは必要ですか?」
「雑草だらけになりませんか?」
これはかなり大事な話です。
土中建築は、外観のインパクトに目が行きやすい建築です。
でも長く使うなら、建てた後の植物管理まで含めて考えておく必要があります。
草屋根は、植えた瞬間に完成するものではありません。
建物の一部でありながら、生きている部分でもあります。
ここが、普通の屋根とは少し違うところです。
植物選びで、後の手間が変わります
草屋根に使う植物は、見た目だけで選ばない方がいいです。
大事なのは、浅い土でも育ちやすく、乾燥にある程度強く、伸びすぎたときに管理しやすいことです。根が強すぎる植物や、大きく育つ植物は避けた方が無難です。
候補としては、ノシバやコウライシバのような芝系、乾燥に強いセダム類、低く広がるヒメイワダレソウやクラピア系、場所によってはタイム類やタマリュウなども考えられます。
ただし、どれが正解という話ではありません。
日当たり、地域の気候、積雪、風、土の厚み、管理できる頻度によって向き不向きがあります。
宿泊施設なら、見た目の美しさも大事です。
住宅や別荘なら、無理なく管理できることが大切です。
観光農園や景観型カフェなら、周囲の畑や庭との相性も見たいところです。
きれいでも手がかかりすぎる植物を選ぶと、あとで屋根の上で園芸修行をすることになります。
健康にはよさそうですが、建築計画としては避けたいところです。

最初の1年は、根づきを見る期間
草屋根の管理で特に大事なのは、最初の1年です。
植えたばかりの時期は、植物がまだ安定していません。
夏場や風の強い場所では乾きやすく、部分的に薄くなることもあります。
植栽後しばらくは、乾きすぎていないかを確認し、必要に応じて朝か夕方に水やりをします。植物が薄くなった部分は早めに補植し、土が流れている場所があれば目土を入れて整えます。
この初年度管理を丁寧にするかどうかで、その後の見た目と手間が変わります。

草刈り、雑草、落ち葉は早めに見る
芝系の植物を使う場合は、草刈りが必要になります。
ただし、ゴルフ場のグリーンのように短く刈り込む必要はありません。
刈りすぎると乾燥しやすくなりますし、伸ばしすぎると見た目が荒れたり、枯れ草が排水まわりにたまりやすくなります。少し自然な表情を残しながら、荒れすぎない状態を保つくらいが現実的です。
雑草は、小さいうちに抜くのが基本です。
大きくなってから抜くと、根と一緒に土が動きやすくなります。
落ち葉も注意が必要です。
特に秋や大雨の後は、排水口や水の通り道に落ち葉や土がたまっていないかを確認します。
排水まわりの掃除は地味ですが、かなり大事です。
建物も人間も、詰まりは早めに見た方がいいです。

屋根の上を歩く前提にはしない
草屋根は、基本的には眺める屋根として考えます。
点検やメンテナンスで人が上がることはありますが、日常的に歩く場所として使うなら、別の計画が必要です。歩く場所を決める、点検ルートをつくる、踏まれてもよい仕上げにするなど、最初から考えておく必要があります。
見た目が芝生だからといって、庭と同じように使えるわけではありません。

メンテナンスは、設計の一部です
FRP草屋根やアースシェルを用いた土中建築では、建てた後の管理を最初から計画に入れておくことが大切です。
どんな植物を使うか、誰が管理するか、どのくらいの頻度で草刈りや点検ができるか。
ここを決めずに見た目だけで進めると、あとで管理しにくくなります。
逆に、植物選びと初年度管理、草刈り、雑草取り、落ち葉清掃、排水確認を無理なく続けられる形にしておけば、FRP草屋根は長く楽しめる外観になります。
土中建築は、建てて終わりの建築ではありません。
でも、毎日手間をかけ続ける建築でもありません。
その土地に合う植物を選び、最初にきちんと根づかせ、季節ごとに状態を見る。
それくらいの現実的な管理を前提にすれば、草屋根は建物の魅力を長く支えてくれます。
UnderSOILでは、見た目だけではなく、建てた後の維持管理まで含めて、FRP草屋根・土中建築を考えていきます。