#土中建築・施工説明資料

【第13回】FRP建築という選択肢

こんにちは。UnderSOIL(アンダーソイル)の野口です。

今回は土と水に向き合うために、なぜUnderSOILはFRPを使うのか、といった話をしたいと思います。

「FRP建築」と聞いて、すぐにイメージできる人はまだ少ないと思います。

木造、鉄骨造、RC造。
建物というと、だいたいこのあたりを思い浮かべる人が多いですよね。

でもUnderSOILが提案している、アースシェルを用いた土中建築では、FRPという素材がとても重要になります。

FRPとは、簡単に言うと繊維で強化したプラスチックです。
船、タンク、浴槽、プール、車両部品、屋外設備など、水や外気に触れる場所でも多く使われています。

もちろん、建築に使うとなると、ただ「FRPだから大丈夫」という話ではありません。
でも、土と水に向き合う土中建築では、FRPという素材にはかなり大きな意味があります。

UnderSOILの土中建築は、普通の建物に草屋根をのせるだけのものではありません。
アーチ状のFRPフレームでアースシェルをつくり、その外側に防水、排水、断熱、土、植物を組み合わせていく建築です。

つまりFRPは、見た目を変わった形にするためだけの素材ではなく、土と水に接する外側の仕組みをつくるための素材です。

リレストロムのモジュラー建築 外観全景

土中建築で一番怖いのは、やはり水です。

雨水、湿気、土の中の水分、結露、排水不良。
土に包まれる建築では、水との付き合い方を間違えると、あとでかなり困ります。

RC造の地下室でも、木造の土屋根でも、防水と排水は重要です。
ただ、土や水に近い場所では、外側に使う素材そのものの性質も大事になります。

木は扱いやすく、住宅としてもなじみのある素材です。
ただし、土や水に近い環境では、防水層や通気、納まりをかなり丁寧に考える必要があります。

鉄は強い素材ですが、錆への配慮が必要です。
RCは重厚で強い一方、ひび割れ、打継ぎ、貫通部、防水、排水、結露など、地下や土に接する部分では注意点が多くなります。

ではFRPはどうか。

FRPは、金属のように錆びる素材ではありません。
木のように腐る素材でもありません。
水に触れる環境で使われてきた実績もあります。

だからこそ、UnderSOILでは、土と水に接する外側の仕組みにFRPを使うことに意味があると考えています。

ただし、ここは誤解してほしくないところです。

FRPを使えば絶対に漏れない、という話ではありません。

どんな素材でも、建築として使う以上、接合部、端部、開口部、防水層、排水経路、施工精度、維持管理が大切です。
FRPそのものが水に強い素材であっても、建物全体として水をどう逃がすかを考えなければ、土中建築としては成立しません。

つまり、FRPは魔法の素材ではありません。
でも、土と水に向き合う建築では、とても合理的な素材です。

UnderSOILの土中建築では、FRPのアースシェルが建物の外側に曲面をつくります。

この曲面があることで、壁と屋根を分けすぎない形になります。
土をかぶせたときにも、建物の輪郭がやわらかくなり、景観になじみやすくなります。

普通の箱型建築に、あとから草屋根をのせる場合、どうしても屋根と壁の境目がはっきり残ります。
もちろん、それが悪いわけではありません。

でもUnderSOILが考えている土中建築は、もう少し建物全体を土と植物で包む考え方です。

地面から立ち上がり、屋根につながり、また地面へ戻っていく。
その連続した形をつくるうえで、FRPのアースシェルは相性が良いのです。

また、FRPは成形しやすい素材です。
直線だけではなく、曲面やアーチをつくりやすい。
この特徴は、土中建築ではかなり大きな意味を持ちます。

土中建築に向いている形は、必ずしも四角い箱ではありません。
土を受ける。
水を逃がす。
景観になじむ。
人が中で安心して過ごせる。

そう考えると、やわらかい曲面やアーチ形状には理由があります。

かわいく見せるためだけではないんすよね。
形にも、ちゃんと意味があります。

では、FRP建築はどんな場所に向いているのか。

UnderSOILの場合は、特に自然や景観を活かした場所との相性が良いと考えています。

たとえば、山や森の中の宿泊棟。
観光農園の休憩所やカフェ。
畑や里山に寄り添う戸建て住宅。
景観を大切にした別荘やセカンドハウス。
公園や地域施設の小さな休憩拠点。

こうした場所では、建物が目立ちすぎると、景色の良さを壊してしまうことがあります。
一方で、どこにでもあるような建物では、その場所ならではの魅力が伝わりにくいこともあります。

FRPのアースシェルを用いた土中建築は、その中間を狙えます。

景観になじむ。
でも、印象には残る。

このバランスが、UnderSOILの土中建築の面白いところです。

もちろん、FRPを使うからといって、何でも自由にできるわけではありません。

建築として考えるなら、構造、防火、断熱、換気、設備、開口部、メンテナンス、確認申請を整理する必要があります。
特に日本では、建築確認申請の中で、主要構造をどう扱うかが重要になります。

現時点では、UnderSOILの土中建築は、FRPのアースシェルそのものを確認申請上の主要構造体として扱うのではなく、主要構造を日本側で成立させ、その外側にアースシェルを組み合わせる考え方を基本にしています。

ここは少し専門的ですが、とても大事です。

FRPのアースシェルは、土中建築らしい曲面形状、防水、断熱、土被覆、植栽を成立させるための外側の仕組みです。
建物として成立させるためには、その内側の主要構造や基礎、設備、内装を、敷地や用途に合わせて計画していきます。

「FRPだから簡単に建つ」という話ではありません。
でも、FRPだからこそできる土中建築の形があります。

ここを分けて考えることが大事です。


土中建築という言葉は、まだ一般的ではありません。

ただ、これから自然の中で建物を計画するなら、木造、鉄骨造、RC造だけでなく、FRPという素材の使い方を考える場面は増えていくと思います。

特に、土と水に近い建築では、素材の選び方が建物の寿命や維持管理に直結します。

見た目だけでなく、防水、排水、断熱、植栽、メンテナンスまで含めて考える。
その中で、FRPのアースシェルは、UnderSOILの土中建築を支える重要な選択肢です。

土に包まれる建築を、ただのロマンで終わらせない。
水に強い素材を使い、曲面をつくり、景観になじませ、人が使える建築にする。

FRP建築という選択肢には、その可能性があります。

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