#土中建築・施工説明資料

【第11回】土に包まれても、暗い建物にしない

こんにちは。UnderSOIL(アンダーソイル)の野口です。

今回は採光・開口・空気の流れで考える、アースシェルの室内体験の話になります。

土中建築やFRP草屋根の話をすると、よく出てくる不安があります。

「中は暗くないんですか?」
「湿気っぽくなりませんか?」
「地下室みたいな感じですか?」

このあたりは、かなり自然な疑問だと思います。

土に包まれる建築と聞くと、どうしても閉じた空間を想像しやすいです。
窓が少なくて、空気が重くて、少しカビっぽい。
そんな地下室のイメージを持つ方もいるかもしれません。

でも、UnderSOILが考える土中建築は、ただ土の中に閉じこもる建物ではありません。

大事なのは、土に包まれる部分と、外に開く部分をきちんと分けて考えることです。

アースシェルによって、壁と屋根が連続した曲面をつくる。
その外側を土と植物で覆う。
一方で、正面側や必要な面には、光と風を取り込む開口を設ける。

つまり、閉じるところは土に守られ、開くところは外に向かってしっかり開く。

このバランスが、UnderSOILの土中建築ではとても大切です。

土に包まれる建築だからといって、すべてを閉じる必要はありません。

むしろ、どこを閉じて、どこを開くかが設計のポイントになります。

背面や側面を土と植物で包み、正面に大きな開口を設ける。
そうすると、外から見ると地形になじむ建物でありながら、室内には光が入ります。

ここが面白いところです。

外側は静かで、落ち着いている。
内側は思ったより明るい。
そして、窓の外には景色がある。

土に包まれているのに、外と切り離されていない。

この感覚は、普通の四角い建物とは少し違います。

建物全体が景色の中に沈み込みながら、必要な方向だけ外に開いている。
そんな空間になります。

土中建築というと「暗い」というイメージが先に来るかもしれませんが、実際には開口の取り方でかなり印象が変わります。

大きな窓。
テラス側への開き。
天井の高さ。
曲面の壁と天井。
室内から見える緑。

こうした要素を組み合わせることで、土に包まれた安心感と、明るさの両方をつくることができます。

もう一つ大事なのが、曲面の室内感です。

アースシェルの内側は、普通の平らな壁と天井だけで構成された空間とは印象が違います。

壁がそのまま天井につながっていく。
角が少ない。
空間に包まれる感じがある。

これは、土中建築らしい魅力のひとつです。

ただ広いだけの空間ではなく、少しこもった感じがある。
でも、閉塞感ではない。
むしろ、安心感に近い。

洞窟のような落ち着きと、宿泊施設としての快適さの間。
その中間を狙えるのが、アースシェルの室内です。

もちろん、曲面だから何でも心地よいわけではありません。
照明計画、換気、仕上げ、家具の配置、設備の納まりはきちんと考える必要があります。

特に宿泊施設として使うなら、見た目の面白さだけでは足りません。

寝やすいこと。
荷物が置けること。
水まわりが使いやすいこと。
空気がこもらないこと。
清掃しやすいこと。

このあたりは、かなり現実的に考える必要があります。

「面白いけど使いにくい建物」では、長く使われません。

UnderSOILが目指すのは、珍しいだけの建築ではなく、ちゃんと使える土中建築です。

ベルギー・ヴレムデのTechnobloxショールーム 完成内観 デスク

空気の流れも大切です。

土に包まれる建築では、湿気の扱いを軽く見ることはできません。
第9回で書いたように、水と湿気は土中建築の大きなテーマです。

ただし、湿気対策は防水だけで終わる話ではありません。

建物の外側で水を止める。
余分な水を排水する。
そして室内では、空気を動かす。

この3つをセットで考える必要があります。

窓の配置。
換気設備。
給気と排気の位置。
空調計画。
水まわりの湿気処理。

こうしたことをきちんと整理すれば、土に包まれる建築でも、空気が重くならない空間を目指すことができます。

逆に、ここを甘く見ると、どんな工法でも快適にはなりません。

RCでも、木造でも、アースシェルでも同じです。
空気が動かない建物は、やっぱりよくない。

建築は、形だけではなく空気も設計する必要があります。

ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、室内の印象は空気でかなり変わります。
入った瞬間に「あ、気持ちいい」と思うか。
それとも「なんか重いな」と感じるか。

この差は大きいです。

土中建築では、特にここを大事にしたいところです。

そして、室内体験は営業面でも大きな価値になります。

外観で興味を持ってもらう。
写真で見つけてもらう。
でも、最後に記憶に残るのは、実際に中で過ごした時間です。

朝起きたときの光。
窓から見える緑。
曲面の天井に包まれる感じ。
外の音が少しやわらぐ落ち着き。
普通の宿泊棟とは違う、少し特別な感覚。

こうした体験があると、建物そのものが滞在の目的になります。

宿泊施設では、これはかなり大事です。

ただ寝るための部屋ではなく、そこに泊まること自体が思い出になる。
この価値は、価格競争とは別のところにあります。

「安いから泊まる」ではなく、
「あの建物に泊まってみたいから行く」。

UnderSOILの土中建築は、そこを狙える可能性があります。

もちろん、すべての敷地で同じ室内になるわけではありません。

南向きに開ける土地。
森に向かって開く土地。
湖や畑を望む土地。
周囲に建物が多い土地。
傾斜地。
積雪地。
湿気が多い土地。

条件によって、開口の取り方も、換気の考え方も、植栽の選び方も変わります。

だから、UnderSOILの土中建築は、ただキットを置いて終わりではありません。

敷地を読む。
光を読む。
風を読む。
水の流れを読む。
景色の向きを読む。

そのうえで、どこを土に包ませ、どこを外に開くかを決めていく。

ここが大切です。

土に包まれる建築は、閉じた建築ではありません。

むしろ、どこを閉じ、どこを開くかを普通の建築以上に考える建築です。

最後にひとことで言うなら、

土中建築は、暗い穴ぐらをつくる話ではないっす。

土に包まれる安心感と、外に開く明るさ。
その両方をどう設計するか。

そこに、UnderSOILのアースシェルの面白さがあります。

外から見ると、土と植物に包まれて景観になじむ。
中に入ると、曲面に包まれながら、光や景色を感じられる。

この内と外のギャップこそ、UnderSOILの土中建築が持つ大きな魅力だと思っています。

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