【第7回】FRP草屋根という土中建築
こんにちは。UnderSOIL(アンダーソイル)の野口です。
今回は外壁と屋根を分けず、土と植物で包むFRP外皮のお話です。
ここまで、土屋根や地中建築について書いてきました。
土に包まれる建物、地形になじむ建築、光・水・空気の設計、そして実際に形にするための構造や排水の話。
今回は、UnderSOILが提案していきたい大事なテーマの一つ、FRP草屋根について書きます。
UnderSOILが考えるFRP草屋根は、一般的な屋根にあとから芝や植栽をのせる緑化屋根ではありません。
アーチ状のFRPフレームによって、外壁と屋根が一体化した外皮をつくり、その外側を土と植物で覆う建築です。
つまり、見た目は草屋根・芝屋根でも、考え方としては土中建築です。
屋根に緑を“のせる”のではなく、建物の外皮そのものを土と植物で包む。
ここが、UnderSOILのFRP草屋根の大きな特徴です。

一般的な建物では、外壁と屋根を分けて考えることが多いです。
外壁材があり、屋根材があり、軒や雨どいがあり、それぞれの役割があります。
もちろん、それは普通の建築として自然な考え方です。
でも、FRP草屋根では少し発想が違います。
アーチ状のフレームになることで、外壁と屋根の境目があいまいになります。
建物の外側が、ひとつの連続した外皮として見えてくる。
その外皮を、土と植物で覆う。
そうすると、建物は「地面の上に置かれた箱」ではなく、少し地形に近づいていきます。
ここが面白いところです。
土や芝に包まれているから、やわらかく見える。
でも、その下にはFRPフレームという構造がある。
自然に見えるけれど、自然任せではない。
このバランスが、UnderSOILらしい部分だと思っています。
FRPという素材の面白さは、軽量で、腐食しにくく、曲面をつくりやすいところです。
土や植物と組み合わせることで、通常の四角い建物とは違う外皮をつくることができます。
もちろん、FRPだから何でも簡単にできる、という話ではありません。
土は重いですし、水も含みます。植物の根も考えなければいけません。
だから、FRP草屋根では、構造、防水、排水、土、植栽を最初から一体で考える必要があります。

完成写真を見ると、草や芝に包まれたやさしい建物に見えます。
でも実際には、かなり建築的な考え方で成り立っています。
FRPフレームを組む。
接合部を処理する。
防水を考える。
排水の逃げ道をつくる。
土をのせる。
植物を選ぶ。
長く維持する。
見た目はやさしいのに、中身はなかなか実務的です。
芝生の顔をした技術屋さん、という感じですね。
特に大事なのは、水です。
土に包まれる建築では、水の扱いを甘く見ることはできません。
雨は降ります。土は水を含みます。余分な水は逃がさないといけません。
水は、こちらの都合を聞いてくれません。
入れるところがあれば入りますし、たまる場所があればたまります。
だから、FRP草屋根では「見た目として緑にする」だけではなく、外皮、防水、排水を含めて考える必要があります。
UnderSOILがFRP外皮を重視する理由もここにあります。
土と水に接する建築では、外皮そのものが水に強いことが大きな意味を持ちます。
防水材だけで構造体を守るのではなく、FRP外皮を基本にして、その上で防水、排水、土、植栽を組み合わせていく。
ここは、今後とても大事な説明ポイントになると思っています。
ただし、FRPだから絶対に漏れない、という話ではありません。
どんな材料でも、接合部、端部、貫通部、開口部は慎重に考える必要があります。
素材の強さに頼りきるのではなく、構造と施工をきちんと組み立てる。
ここを飛ばすと、あとで土に怒られます。
たぶん、けっこう静かに怒られます。
水漏れという形で。
もう一つ大事なのが、植栽です。
草屋根や芝屋根といっても、何でも植えればいいわけではありません。
屋根や外皮の上は、地上の庭とは環境が違います。
日射を受けやすい。
風も受けやすい。
乾きやすい。
地域によっては霜や雪もあります。
だから、植物は見た目だけで選べません。
低草丈で、管理しやすく、地域の気候に合うもの。
土の厚みや排水計画と相性が良いもの。
長く維持できるもの。
こうしたことを考える必要があります。

UnderSOILが提案したいFRP草屋根は、単なるデザインではありません。
外壁と屋根を一体化したFRP外皮。
その外皮を土と植物で包む構造。
土に包まれながら、必要な面は外に開く建築。
つまり、景観になじむ見た目と、土中建築としての考え方を両方持っています。
ここをきちんと伝えることが大切だと思っています。
「草屋根だからかわいいですね」
それも、もちろん大事です。
最初に興味を持ってもらえることは、すごく大事です。
でも、そこで終わらせたくないんです。
なぜその形なのか。
なぜFRPなのか。
なぜ土と植物で包むのか。
なぜ水の処理が重要なのか。
そこまで含めて、UnderSOILのFRP草屋根です。
最後にひとことで言うなら、
FRP草屋根は、屋根に草をのせる話ではないっす。
外壁と屋根が一体化したFRP外皮を、土と植物で包む建築です。
だからこそ、UnderSOILにとってFRP草屋根は、土中建築そのものの表現のひとつなんです。