#はじめての土中建築

【第6回】 日本で地中建築をやるなら、ロマンより先に考えること

こんにちは。Under SOILの野口です。

今回は地震・雨・湿気・排水・建築確認の話です。

ここまで、土屋根や地中建築の魅力について書いてきました。
土に包まれる安心感、景観になじむ外観、夏や冬の外気の影響をやわらげる考え方。

正直、見れば見るほど面白い建築です。

でも、日本で実際にやるなら、ここからが大事です。
「かっこいい」「自然にやさしい」「海外で見たことがある」だけでは、建物は建ちません。

日本には日本の条件があります。
雨が多い。湿気がある。台風がある。地震がある。
地域によっては積雪もあります。

つまり、地中建築はロマンがありますが、ロマンだけでは足りないっす。

完成写真だけを見ると、土屋根の建物はとても自然で、やわらかい印象に見えます。
でも実際には、基礎をつくり、FRP部材を組み、接合部を処理し、防水や排水を考え、最後に土や植栽をのせていきます。

つまり、見た目は自然でも、中身はかなり建築的です。
ここをきちんと見ないと、日本で実現する話にはなりません。

まず考えるべきは、構造です。

土屋根や地中建築は、普通の屋根とは荷重の考え方が違います。
土は軽くありませんし、水を含めばさらに重くなります。そこに人が歩く可能性、設備を置く可能性、地域によっては雪の重さも加わります。

UnderSOILの技術資料では、アースシェルの形状や荷重、接合、防水などについて検討資料を整理しています。ただし、それをそのまま日本の確認申請に使えるという意味ではありません。実際の計画では、敷地条件、用途、積雪、風、地震などに合わせて、日本側で構造設計を行う必要があります。

ここで、FRP構造の面白さが出てきます。

FRPは軽量で、腐食しにくく、曲面形状をつくりやすい素材です。
だからこそ、土や植栽を受ける屋根を考えるときに、通常の屋上緑化とは違う設計の可能性があります。

一般的な緑化屋根は、通常の屋根の上に防水層や排水層、土壌、植栽を重ねていく考え方が多いです。
一方で、Under SOILが考えるFRPグリーンルーフは、最初から土・水・植栽を受け止める前提で、構造、防水、排水、植栽、景観を一体で考える方向です。

ここは、第7回以降で詳しく書いていきます。

ただし、FRPだから何もしなくていい、という話ではありません。
接合部、防水、排水、貫通部、点検性。
ここを整理して初めて、FRPグリーンルーフとして成立します。

地中建築で考える構造は、単に「建物が立つかどうか」だけではありません。

土をかぶせた状態でどうなるか。
地震時にどう動くか。
風や積雪の条件をどう見るか。
接合部やパネルにどんな力がかかるか。

こうしたことを一つずつ確認していく必要があります。

日本は地震が多い国です。
さらに地域によって、台風、豪雨、積雪、凍結など、考える条件も変わります。

その地域に合わせた確認を進めていきます。

次に大事なのが、基礎と地盤です。

土に包まれる建築は、建物だけで完結しません。
どんな土地に計画するのか。地盤はどうか。水はけはどうか。掘削できるのか。資材や重機は搬入できるのか。

ここを見ないと始まりません。

敷地条件によって、考えることは大きく変わります。
傾斜地なのか、平坦地なのか。地下水位はどうか。雨水はどこへ流れるのか。周囲に排水先はあるのか。搬入経路は確保できるのか。

建物そのものより先に、土地を読む必要があるんすよね。

そして、やっぱり水です。

土に包まれる建築を考えるなら、防水だけでなく排水が本当に大事です。
水を止めるだけではなく、水をためない。建物のまわりに水が残らないようにする。

これができないと、せっかくの土屋根や土中空間が、あとで困った空間になってしまいます。

土に包まれる建築の良し悪しは、見えないところで決まる。
ちょっと人生っぽいですが、建築の話です。

もう一つ忘れてはいけないのが、空気と設備です。

土に包まれる建物は、外気の影響を受けにくい反面、換気や空調の計画が大切になります。
湿気をためない。空気をよどませない。必要な場所で給気と排気を考える。

自然の力を借りる建築だからこそ、設備を軽く見てはいけないんすよね。

そして最後に、建築確認申請です。
ここはかなり現実的な話になります。

UnderSOILのアースシェル建築には、材料特性、防水、耐火、構造検討など、建築として整理すべき技術資料があります。
ただし、それらの資料があるからといって、確認申請がそのまま自動的に進むわけではありません。

用途、規模、地域、敷地条件、主要構造の扱い、設備計画、防火・避難、審査機関との協議。
整理することは多いです。

だからUnderSOILでは、見た目の面白さや施工事例だけではなく、実際にどう建築として成立させるかを大事にしています。

技術資料を整理し、設計者・施工者・審査機関との確認を重ねながら、その敷地に合った現実的な形を探る。
ここが一番地味ですが、一番大事です。

土に包まれる建築は、夢のある建築です。
でも、夢をちゃんと形にするには、地盤、構造、防水、排水、換気、設備、申請を一つずつ整理する必要があります。

面倒に見えるかもしれません。
でも、そこを飛ばさないからこそ、UnderSOILの土中建築は現実の建築として進められるのだと思っていま

最後にひとことで言うなら、

地中建築は、勢いで埋めるものではないっす。

ちゃんと考えて、ちゃんと掘って、ちゃんと逃がす。
そこから始まる建築です。

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